湾曲モニターのメリットといえば、なんといってもその没入感。あくまで筆者の体感ですが、30インチを超える大型の湾曲モニターを使ってゲームをプレイすると、“プチVR”のような感覚を味わえます。この映像体験は、平面モニターでは決して味わえません。
ゲーミングではもちろん、映画鑑賞などでもその魅力を発揮する没入感は、どのようにして生まれているのでしょうか。ここでは湾曲モニターが没入感を生む仕組みと、その効果のほどについて、筆者の体感を交えながら解説していきます。
湾曲モニターがユーザーに高い没入感をもたらす秘訣は、「目と画面端の距離」にあります。平面モニターでは、モニターの中央が最も目に近く、画面端にいくほど遠くなります。すると、画面端まで視野がしっかりと及ばないため、その部分に映っている情報への注目が自然とおろそかになります。
しかし湾曲モニターでは、カーブの強さにもよりますが、画面端と目の距離が平面モニターと比べて近くなります。そのため、画面全体の情報がユーザーの頭に入ってきやすくなり、没入感が増すという仕組みです。
ただし画面から大きく離れすぎると、このメリットは薄れてしまいます。ご自身の感覚で、目が疲れすぎない程度に、画面との適度な距離をセッティングしましょう。
また、大型、つまり横幅が広いモニターをお使いの方ほど、湾曲モニターを選ぶメリットは増します。というのも、横に広い平面モニターでは、画面中央と端の、目からの距離の差が大きくなってしまうからです。大型のモニターを使うなら、湾曲モデルを選ぶメリットは高くなります。
日本ギガバイトでは、27インチから34インチの湾曲ゲーミングモニターを発売しています。なかでも特に人気なのが、縦横比21:9のウルトラワイドモデル「G34WQC A」です。
↑日本ギガバイトが誇る大人気湾曲モニター、G34WQC A
本機は、横幅80cmにも迫る大画面を備えています。その画面を前にすると、目の前が映像で覆われている感覚を受けるほどです。また横長の画面は、FPSをプレイする際に画面端からの敵の侵入に気付きやすくなるというメリットも発揮するので、パフォーマンスを上げるための大きな武器となります。
その解像度は3440×1440と高く、4K画質(3840×2160)にも肉薄。マルチモニタをせずとも多くの情報を画面に映せるので、作業用のモニターとしても適しています。
↑上の画像で重ねあわされている2つの長方形は、同サイズで形状だけ異なっています。21:9のウルトラワイドモデルが、16:9のモニターと比べてかなり横長になることがわかります。
湾曲モニターがもたらすメリットは、没入感だけではありません。ほかにも、ゲームのパフォーマンス向上や、目の疲れにくさといったメリットがあります。
湾曲モニターを使っている場合、画面中央から端に視点を移す際にもその移動幅が平面モニターと比べて少なく済みます。プレイ中、四方八方に注意を払わなければならないFPSでは、大きな効果を発揮します。
また、視点移動が少なく済むことで、目への負担も軽くなります。長時間ゲームをプレイしたいFPSプレイヤーにはもちろん、仕事で目を酷使しているビジネスマンにもおすすめできる製品といえるでしょう。
湾曲モニターはユーザーに高い没入感をもたらしてくれる一方で、平面モニターにないデメリットも持っています。それは、酔いやすさと価格の高さ、そして利用シーンが限られることです。それぞれ解説していきます。
湾曲モニターの使用感について、”プチVR”と先ほど紹介しました。VRを見て酔ってしまう方がいらっしゃるように、湾曲モニターでもVRほどではないにせよ同様の現象が起きることがあります。
特に3Dゲームではそのケースが多く、導入したばかりのときは注意が必要です。とはいえ、この問題は慣れることで解決するので、長期的な心配は不要でしょう。それでも不安な場合は、事前に店舗などで見え方をチェックしてから購入することをおすすめします。
湾曲モニターの価格は、平面モニターに比べるとやや高めになっています。いまでは、湾曲モニターが登場した当初と比べ、その価格差はかなり小さくなっていますが、少なからず差があることは認識しておいたほうが良いでしょう。特に、発色に優れるIPS液晶を搭載したモデルでは価格が高くなりがちです。
↑平面モニターに近い価格の湾曲モデルも近年は登場しています。画像の「G27QC A」の実勢価格は3万円台(2023年1月末現在)です
湾曲モニターがもたらす没入感は、画面の正面に座っていてこそ発揮されます。つまり1人での使用が前提となるため、複数人でひとつの画面を見る場合は、画面の湾曲がむしろデメリットになってしまいます。大型の湾曲モニターを導入した場合でも、1人での使用が前提となることに注意しましょう。
いざ湾曲モニターを選ぶ場合のポイントは、モニターのサイズと液晶の種類です。先ほども述べた通り、湾曲モニターがもたらす没入感は、大型のモデルを選んでこそ最大化されます。設置環境や予算が許すのであれば、可能な限り大きなサイズを選びましょう。
また、液晶パネルには3つの種類があります。それが「TN液晶」「VA液晶」「IPS液晶」の3つです。それぞれの特徴を以下に整理します。
この記事の公開(2023年1月末)時点で市販されている湾曲モニターでは、VA液晶とIPS液晶が主流になっています。価格差が顕著なことから、製品の数としてはVA液晶を搭載したものが多く普及していますが、性能を求めるユーザーからはIPS液晶も支持を集めています。
ただし、近年はVA液晶でも応答速度や色再現性が高くなってきているので、VA液晶搭載の製品を選んでも、十分満足できるケースが多いと思われます。
実勢価格6万3500円~(2023年1月末現在)
縦横比21:9のウルトラワイド湾曲モニター。解像度は4K(3840×2160)にも迫る3440×1440で、高精細な映像を映し出す。応答速度1ms、リフレッシュレート144Hzと、ゲーミングモニターとして十分な性能を誇る。液晶はVAではあるが、IPS液晶搭載モデルに迫るほどの色彩の豊かさを誇り、アメリカのデジタルシネマの色空間の規格であるDCI-P3を90%カバーする。通販サイトではしばしば在庫切れを起こすほど、大人気。