ゲーマーにとって不可欠なアイテム、ゲーミングモニター。そんな重要なアイテムを、適当に選んではいないでしょうか。ゲーミングモニター選びの指針はいくつかありますが、この記事では主にサイズについて解説します。
一言でいえば、ゲーミングモニターのサイズは「大きければよい」というものではありません。主流となっている24インチ、27インチを中心に、その選び方を解説していきます。
【執筆者紹介】
畑野壮太
PC・ガジェットなどのジャンルを得意とするライター。GetNavi、ASCIIなどのメディアを中心に、執筆活動を行っている。自作PCを愛用しており、パーツはコスパ重視で選ぶ主義。数千時間プレイしたタイトルがあるほどのゲーマーでもある。
ゲーミングモニターのサイズの単位「インチ」とは
選び方の解説に入る前に、サイズの見方から説明していきましょう。ゲーミングモニターを含むディスプレイの画面サイズは「インチ」という単位で表されます。メートル表記に慣れている日本人にとって、インチはあまりなじみのない単位ですが、1インチ=2.54cmということをまずは理解しておきましょう。
さて、1インチ当たりの長さが分かったところで、画面のサイズでいう「●●インチ」とは、どこの部分を測ったものなのでしょうか。正解は、対角線の長さ。ディスプレイの縦横比=アスペクト比は、16:9のものが主流ではありますが、近年では21:9など、横長のものも増えてきました。これら、形状の違うディスプレイのサイズを統一して表すために、対角線の長さを指標として用いているわけです。
e-sport人気が高まったいまでは多様な商品が発売されており、サイズに関してもたくさんの選択肢があります。なかでも主流となっているサイズは以下の通りです。cm表記と並べて紹介していきます。
【ゲーミングモニターの主要サイズ】
これだけ見てもピンと来ないかもしれませんので、大雑把な指標を示しておきます。21~24インチがオフィス向けのデスクトップPCでも用いられるサイズ、27インチ以上がそれを超える大型モニターと理解してください。なお、21.5インチ、23.8インチなど、小数点以下のサイズが表記されたモデルも多く存在します。とはいえ主流のサイズ感が上記のとおりであることは変わりませんので、参考にご覧ください。
さて、これらたくさんの選択肢のうち筆者がおすすめするのは、24~27インチの、いわば”中くらい”のもの。ニーズ次第で、もちろん例外はあるのですが、なぜこのサイズをすすめるのか、以下で詳しく解説していきます。
ゲーミングモニターのサイズの選び方。おすすめは24~27インチ
24~27インチのゲーミングモニターがおすすめな理由を一言で表すなら「大きすぎず、小さすぎない」から。というのも、大きすぎ、小さすぎの両面で、デメリットが出てしまう場合があるのです。
ゲーミングモニターが大きすぎる場合に起きてしまうデメリット
ゲーミングモニターが大きすぎる場合、まず単純に目が疲れます。ゲームをしている間は、少なくとも30分以上、大概の場合では1時間以上は画面とにらめっこすることになります。もしこのとき、目の前の景色が画面で埋め尽くされてしまうと、どうしても目への負担が大きくなってしまうのです。
ゲームの世界への強い没入感や、一部のゲームジャンルでパフォーマンスを求める場合には、大型モニターを選択するメリットは確かにあります。しかし、一般論として述べる場合、目がすぐに疲れてしまってはプレイのパフォーマンスにも関わりますし、基本的にはおすすめできません。
さらに、大型のモニターは設置場所をとるうえ、価格も高くなりがちです。PCゲーマーなら、一度は大型モニターに憧れたことはあると思います。実際、筆者もショップで大型モニターを見て、そのような想いをもったことはあります。しかし、サイズが大きければいいわけではないというのが、実経験などを経てたどり着いた答えです。
ゲーミングモニターが小さすぎる場合に起きてしまうデメリット
小さすぎるゲーミングモニターでは、せっかくのゲームのグラフィックが十分に楽しめません。現代では美麗なグラフィックをウリにしているタイトルも多いですから、そういったゲームを遊ぶ場合には小型サイズのゲーミングモニターは避けるのが無難です。
24~27インチのゲーミングモニターの選び方
ゲーミングモニターのおすすめサイズが24~27インチであることは述べてきました。ではこれらのサイズのうち、どちらを選べばよいのでしょうか。両者の差は3インチしかないとはいえ、その使用感の違いは小さくありません。
1.解像度で選ぶ
ゲーミングモニターの選び方の指針のひとつが解像度です。解像度が高くなればなるほど画面は高精細になりますが、その一方で解像度が低い大画面モニターは、画質が粗くなってしまいます。現状発売されているゲーミングモニターの最低の解像度は、フルHDと呼ばれる1920×1080ですが、大きすぎないモニターであれば、フルHDでも十分美しい映像を楽しめます。とはいえ、大きな画面にフルHDの映像を映すと、粗さが気になる場合はあります。フルHD解像度を採用する場合は、27インチではなく、より小型の24インチを選ぶのがいいでしょう。
24インチのゲーミングモニターを選ぶことのメリットは、コスパの良さにもあります。実際のゲームシーンでは、画面のサイズ以上に応答速度やリフレッシュレートといった残像の残りにくさが重視されます。これらのパフォーマンスに優れる大型ゲーミングモニターは必然的に高価になるため、コスパの面で24インチに軍配が上がります。
↑FHD画質の23.8インチゲーミングモニターG24F 2 Gaming Monitor
ただし、2560×1440(WQHD)、4K(3840×2160)といった高解像度のゲーミングモニターを選ぶ場合は、27インチ以上のものを選ぶのがおすすめです。せっかく高精細な映像を楽しむのなら、画面サイズが大きいに越したことはありません。
↑WQHD画質の27インチゲーミングモニターAORUS FI27Q-X Gaming Monitor
ただし、これだけ精緻なグラフィックを描画するには、GPUに大きな負荷がかかります。実際、4K環境のゲーミングに堪えうるGPUは非常に高価になってしまうので、基本的にはフルHDの24インチが王道といえます。
2.周辺環境を考慮して選ぶ
ゲーミングモニター選びで、絶対に考えておきたい要素が設置場所の周辺環境です。アイテムの購入前に、設置場所の寸法を測っておくことは欠かせません。また、画面と目の距離が近くなってしまいそうな場合は、大型のモニターを選ぶことは避けるのが無難です。
筆者の体感では、27インチのゲーミングモニターを選ぶ場合、画面から70~80㎝くらいは離れたいように感じています。それだけの距離を確保できない場合、24インチにとどめておくのがおすすめです。
また、もうひとつ考慮に入れたいのが、マルチモニターをする場合。マルチモニターの場合は取るスペースが必然的に大きくなりますから、24インチ×24インチや24インチ×21インチ程度といった環境を選ぶのがよいでしょう。これも筆者の体験談ですが、27インチ×24インチのマルチモニター環境を構築したら、眼前が明るすぎて目が疲れてしまったという苦い経験があります。
24~27インチ以外のゲーミングモニターを選ぶ場合の選び方
ここまで、24~27インチのゲーミングモニターを推してきましたが、それ以外のサイズにももちろんメリットがあります。それぞれ紹介していきましょう。
大型ゲーミングモニターを導入するメリット
27インチを超える大型ゲーミングモニターを使用したゲームプレイは、なんといっても没入感が違います。美麗なグラフィックに酔いしれたい方は、大型モニターも十分な選択肢。さらに、大型ゲーミングモニターには、アスペクト比21:9のものなど、横長形状の商品もあります。これらのモニターは目の前を画面が覆ってくれるので没入感には特に優れます。美麗な映像を臨場感たっぷりに楽しめるので、映像鑑賞などにもおすすめです。
↑32インチ、アスペクト比21:9ゲーミングのモニターM34WQ Gaming Monitor
また、FPSなどのジャンルでは、大型ゲーミングモニターを導入するメリットがあります。影など、見えにくいところから出現する敵とも戦わねばならないシューティングゲームでは、如何に敵を早く見つけるかがその勝敗を分けます。大型ゲーミングモニターを使っていれば、敵の視認性がアップするので、プレイのパフォーマンスに良い影響をもたらすことがある、というわけです。
ただし、プレイスタイルにどのサイズのゲーミングモニターが合うかは個人差があります。ゲーミングモニターの購入時には、適当にサイズを決めるのではなく、事前に販売店での試遊や目視確認を経てから買うのがおすすめです。
小型ゲーミングモニターを導入するメリット
小型のゲーミングモニターのメリットは、まず安いことでしょう。予算が少ないなかでも、応答速度やリフレッシュレートに優れるゲーミングモニターを導入したいのであれば、小型のものも選択肢にあがります。
また、設置場所に困りにくいのもメリットです。卓上のスペースが限られている場合でも導入しやすいのは、中型~大型モニターにはない武器です。
ゲーミングモニターのサイズは体感も重視して選ぼう
ゲーミングモニターのサイズは24~27インチがおすすめで、特に24インチが王道と解説してきました。しかし、一番大切なのは「あなたの体感」です。たとえば、目がどれくらい疲れるのかは人によりますし、どのサイズのモニターを使ったときにプレイのパフォーマンスが高まるのかも個人によって異なります。
ゲーミングモニターのサイズは安易に決めず、店舗で商品を見てからにするのが、後悔をしない買い物のコツです。安い買い物ではないうえ、長く使うものですから、自分の肌に合ったものを選びましょう。