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パソコンを自作する、とは? メリット&デメリット、 自作がおすすめなパターンを解説

パソコンを自作する、とは? メリット&デメリット、 自作がおすすめなパターンを解説

「パソコンを自作する」という言葉だけ聞くと、どのようなイメージを抱くでしょうか?難しいと感じる方も多いでしょう。この記事では、パソコンを自作するとはどういうことなのか、そのメリットデメリットなども含めて詳しく解説していきます。
 

パソコンを自作する、とは?

パソコンを構成するパーツは多岐に渡ります。マザーボード、CPU、GPU、メモリ、ストレージ、電源ユニットといった動作に必須のものはもちろん、発熱の多いCPUを冷却するためのファン、全てのパーツを収めるためのケースなど。既成品を注文すればこれらのパーツが全て揃い、組み上がった状態で納品されます。一方で自作する場合は、部品のひとつひとつをユーザーが自らの手で選び、組み立てることになります。

組み立てにかかる手間は小さくありませんが、自作パソコンなら個々のパーツを自分の好みで選べるため、性能はもちろん、外見まで、自分にとってベストといえる一台を入手できます。パソコンを使っていて「どうしてもここが気に入らない…」と気を揉んだことのあるユーザーは少なくないはず。そんな方の悩みを解決し、さらにはカスタマイズの楽しみまで与えてくれるのが、自作パソコンなのです。

 

自作パソコンに必要な主要パーツ

すでに書いたように、パソコンを自作する際は、多様なパーツを自分で買い揃える必要があります。自作を考えるなら、まずはそれぞれの役割を知っておかなければなりません。パソコンの性能は、デスクワークをしている人にたとえて説明するとわかりやすいので、この記事でもそれをもとに解説していきます。

①マザーボード

全てのパーツを搭載する基盤。「マザー」の名の通り、全てのパーツの“母艦”ともいえる存在です。CPUやGPU、メモリなど、各パーツ間の接続を行う橋渡しとなるチップセットが搭載されており、その形式によって、搭載できるパーツの種類や数が異なります。

デスクワークに例えると…>

デスクの設置場所。場所によってどれくらい大きなデスクを設置できるかなどの、設置要件が決まります。

 

②CPU

Central Processing Unit(中央処理装置)の略で、パソコンの頭脳にあたる部分。マシンの基礎能力を決定づける重要なパーツです。製品によって、搭載されているコアの数や周波数の大きさが異なっており、数字が大きいほど高性能になります。

デスクワークに例えると…

デスク上で作業をしている人の脳みそ。頭脳明晰な人(CPU)であれば、より効率的に作業が進みます。

 

③GPU(グラフィックボード)

パソコンのグラフィック性能を司るのがこのGPUです。ゲームや映像制作など、グラフィック面で大きな負荷がかかる用途では高い性能が求められます。なお、GPUの機能を内蔵したCPUもあり、それを使用する場合はGPUの搭載は必須ではありません。ただし、CPUに高い負荷がかかるため、マシンが発揮するグラフィック性能は低くなってしまいます。

デスクワークに例えると…

作業をしている人の、絵を描く才能。才能が大きいほど、より美しい絵(グラフィック)を映し出すことができます。

 

④メモリ

パソコンが現在処理しているデータを短期的に記憶しておく装置。多数のウインドウを同時に展開するなど、マルチタスクを行った際の処理能力に影響します。

デスクワークに例えると…

デスク上の広さ。広いデスクの上には、たくさんの書類を出すことができるので、作業が捗りやすくなります。

 

⑤SSD・HDD(ストレージ)

ストレージと呼ばれる、大容量記憶装置。作業の成果物や、ダウンロードしたデータなど、パソコン内のあらゆるデータがここに保管されます。SSDは高価ながら読み書きが高速で長寿命、HDDは安価で大容量ながら短寿命といった特徴があり、近年ではSSDの採用が一般的です。

デスクワークに例えると…

デスクに備え付けられている引き出しの大きさ。引き出しが大きいほど、多くの書類を保管できます。

 

⑥電源ユニット

全てのパーツに電気を供給するための必須パーツ。600W、700W、800Wなど、多彩な容量の電源ユニットが発売されています。性能の高いCPUやGPUは大量の電気を消費するため、その性能よって電源の容量を決定します。

デスクワークに例えると…

作業をする人のエネルギー。腹が減っては仕事はできぬ。電源がなければパソコンは動かぬ。

 

⑦ケース

マザーボードを含む、全てのパーツはこのケース内に収納されます。ガラス張りのものなど様々な外見のモデルが発売されており、ユーザーの好みを最も反映させられるパーツでもあります。

デスクワークに例えると…

デスクやデスク周りのデザイン性。どうせなら、おしゃれなデスクで仕事をしたいものです。

 

パソコンを自作することのメリット

パソコンを自作する最大のメリットは、幅広いカスタマイズ性です。外見と性能に分けて考えていきましょう。

 

外見〜ガラス張りのケースなど、こだわりの見た目を楽しめる

筆者は、自作パソコンの最大の魅力はここにあるといって過言ではないと考えています。というのも、既製品とは比較にならないほど、選択肢が広いからなのです。既製品でケースをカスタマイズできるものも存在しますが、その幅は決して広くありません。一方で、自作ならかなりの数のラインナップから選べます。

特にガラス張りのケースは、多くの自作派から根強い人気を集めています。LED内蔵の光るパーツが駆動する様子をケースの外から眺められるので「自分で作ったパソコンが動いている!」という独特の満足感を視覚で味わえるのがその理由のひとつでしょう。さらに、LED内蔵パーツの配置や配色も自分でコントロールできるため、単に光らせるだけでなく、光り方を調整することも可能。光るパーツを内蔵した既製品もありますが、光り方を自在にコントロールできるのは、自作ならではの楽しみといえます。また、ガラス張りのパソコンはインテリアとしても大きな存在感を放ち、ユーザーの所有欲も満たしてくれます。

↑ガラス越しに光るLED内蔵パーツには、独特の艶やかさがあります

 

 

性能〜将来の増設を見据えたパーツ選びができる

既製パソコンでも、性能をある程度カスタマイズできるモデルが増えてきました。とはいえ、その自由度は自作には及びません。たとえば既製品の場合、マザーボードのチップセットまでは選べても、具体的にどのモデルのマザーボードを使うのかまでは選択できず…将来的に改造をしてみようと思ったら、スロットの数が足りない、物理干渉があり、搭載したかったパーツが使えないといった問題にぶつかることがあります。その点、自作であれば、将来の増設を見据えたパーツ選びができるので、カスタマイズの余地を十分に残しながら構成を組めます。

↑同じチップセットでも、スロットの位置はマザーボードのモデルによって異なります。背面の出力端子にも差があるため、自分好みのものを選びましょう

 

 

修理〜メンテナンスも自分でできる

自作パソコンのカスタマイズ性の高さは、マシンが万が一壊れてしまったときにも力を発揮します。壊れてしまった部品さえ特定できれば、自らの手で修理が可能なのです。症状をもとに壊れたパーツを特定する必要があるため、一定の知識こそ必要ですが、インターネットで調ベればある程度対応できます。

つい先日、筆者の愛機のマザーボードが故障してしまったのですが、GPUなどの使える部品はそのままに、新しいマザーボードへと換装しました。同時にCPUやメモリも最新のものに交換したため、金額的には10万円超の出費です。しかし、GPUやストレージ、ケースなどはこれまで使っていたものを流用したので、金額を抑えながら高性能なマシンに乗り換えることができました。新品で同一スペックのマシンを購入しようとすれば20万円以上になってしまうところだったので、自作パソコンの恩恵が活きたケースです。

↑筆者が改装したマシンを試験的に起動させたところ。マシン無事動いたときには感慨深いものがありました

 

パソコンを自作することのデメリット

自作パソコンのいいところばかりを紹介してきましたが、デメリットもあります。第一に、組み立ての手間です。既製品であれば、製品が家に届いてすぐに使い始めることができますが、自作だとそうもいきません。パーツのセッティングから配線、OSのインストールなど、数時間に及ぶ作業が必要になります。しかし、精魂込めて作ったマシンが動いた瞬間には、このうえない達成感を味わえます。

また、組み立てにあたっては、エンジニアレベルではないものの、パソコンについての一定量の知識が必要になります。しかし、この記事に書いてあるような基礎知識を知ったうえで、YouTubeに多くアップロードされている組み立ての様子の動画を見れば、それほど大きなハードルにはならないでしょう。また、パーツショップに足を運べば、相談にも乗ってもらえます。そうして知識を身につけた先には、上に書いたような修理時の対応にも応用することができます。

なお、自作できるパソコンはデスクトップに限られます。つまり、ノートパソコンを自作することは不可能です。この点も、デメリットといえる部分でしょう。

気になる価格ですが、同一スペックで強いこだわりのあるものを作らないのであれば、自作パソコンと既製品の間にはそれほど大きな差はありません。ただし自作においては、個々のパーツにこだわり始めるとキリがないため、同じスペックでも既製品と比べて割高になるケースも存在します。自作はカスタマイズの幅が広いぶん、ついついあれやこれやと付け足してしまい、予算が青天井になってしまいがち。パーツを選ぶ際は、どこにこだわるのかをしっかり決めて、懐具合にあった組み合わせを選ぶことが必要です。

 

こんな人にはパソコンの自作がおすすめ

自作パソコンのメリットやデメリットについて語ってきました。ここでは、どんな人に自作が向いているか書いていきます。

①プラモデルやミニ四駆が好きな人

パソコンの自作は「大人のプラモデル」だと筆者は考えています。組み立てているときの“産みの苦しみ”に加え、マシンが見事動いたときの爽快感は、プラモデルの完成時にも似たものがあります。さらに、パーツ選びの幅が広いパソコンの自作は、ミニ四駆のようなカスタマイズ要素を持ち合わせているのも特徴です。

②家で過ごす時間が長く、パソコンを持ち歩かない人

上述したように、自作できるパソコンはデスクトップに限られています。家などに据え置いて使うことになるため「家で使うこだわりの一台が欲しい!」という方にこそ、自作はおすすめできます。

③とにかくこだわりの一台が欲しい人

「既製品では、どうしても気に入らない部分がある…」「こだわりの一台がなかなか見つからない…」そういった悩みを解決してくれるのが自作です。自作パソコンであれば、パーツ”ごと”に好みのものを選べるので、部分的に気に入らないポイントすらも排除できます。

 

パソコンの自作をしてみたいと思ったら

パソコンの自作をしてみたいと思ったら、まずはパーツショップへ出向いてみましょう。予算や用途などをあらかじめ決めたうえで店舗スタッフに相談すれば、希望の構成を一緒に考えてもらえます。個々のパーツの組み合わせには相性が存在することもあり、初心者が一人で構成を考えると思わぬ落とし穴にはまってしまうことも。まずは有識者に教わるのが間違いありません。

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